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「猫耳戦車隊、西へ」裏話
リアリズムとリアリティは違います。創作をするときは、その違いを認識して作業をするのですが、場合によってはその両者ともあえて無視することもあります。
例を挙げれば、1984年の映画「ゴジラ」のビル群破壊のシーン。煤や埃で顔が汚れた沢口靖子を観て、プロデューサーは「女優の顔はきれいに撮るものだ!」と一喝したとか。なるほど、一理あるな、と思いましたね。破壊場面のリアリティよりも優先するものがあると。
と、ここまでは前振り。
北国出身者やスキー場等に行ったことのある人ならお分かりのように、人間の体の中でもっとも寒さを感じるのは耳です。耳かけ(子供のころはこう呼んでいた)をしていないと、ちぎれるように痛い。冷たい、寒いを通りこして痛いという感覚です。
しかるに「猫耳戦車隊、西へ」の舞台は冬。しかも戦場は降雪地帯。
表面積の広い猫耳は、さぞ寒さが応えるでしょうなぁ。
かわいい防寒具でも付けてやろうと考えましたが、それでは猫耳が隠れてしまう。タイトルに偽りありになってしまう、ということで作中「寒い、寒い」といいつつも、耳はむき出しなのです。許せ。
ときにはリアリティよりも優先すべきものがある。……こんなことがいちいち気になるのは、寒さによる耳の痛みを知っている人間だけでしょうか?
2001.1.27 ◇to page top
「猫耳戦車隊、西へ」裏話2
今回はヴォータンについて。
前作「出撃っ! 猫耳戦車隊」を読んだとある友人は「戦闘妖精・雪風」を連想したそうです。私にとっても好きな作品ですから、多少は意識しないではおられません。連作短編としたのは、その表れですね。
もちろん一緒なのはそこまでで、キャラを明るくしたり、チーム物にしたり、アビオニクス(電子兵装)のない戦車をメインに据えたりと、違うものになるように設定したのですが……。
では、ヴォータンはジャムではないのか?
違います。
アプローチの方向が違う。
「猫耳戦車隊」は、戦車の戦いをある程度リアルに描こうと思った。しかし、リアルな戦い(とくに陸戦)とは、兵器描写だけで済むものではない。爆発によって、手が飛ぶ、足が飛ぶ、首が飛ぶ。……しかし、それでは猫耳キャラを主役にする意味がないではないか。
ということで考えたのが、血の流れることのない敵、ヴォータンでした。
後々、その存在理由がプラスされていったのですが「西へ」のラストは、まだ思わせぶりでしたね。くわしくは、またおいおいということで……。
2001.2.26 ◇to page top
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