I氏の手紙

Ibuki Hideaki Free Talk

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欲しいもの、観たいもの

 ここではタイトルどおりのものを、だらだらと書きつづってみます。
○その1 「天本英世」写真集。
 1年くらい前にここのフリートークで書いたネタ。「博士」というタイトルでぜひ出して欲しい。2年前、幻冬舎の担当さんに持ちかけたときはNGでした。朝日ソノラマさんではどうですか?
○その2 桂正和のお尻画集。
 4月末に日本の若手写真家がお尻写真集を出して、テレビ「トゥナイト2」でも紹介されていましたが、そんなことはジャンルー・シーフがもっと素晴らしい仕事をすでにやっている。
 それはともかく……お尻にこだわる漫画家・桂正和氏にはぜひフェティッシュなイラスト集を出して欲しいものです。
 確か鳥山明も参加している、お色気画集「ビッチズ・ライフ」(グラフィック社)に、桂正和も描いていましたが、あれではちょっと不満。彼にはぜひお尻を描いて欲しい。ちなみに同画集はコンセプトは良いのですが、全体的に私の好みからは外れておりました。残念なり。
○その3 CG映画版「チキチキマシン猛レース」
 岩石オープン、ヒュードロ・クーペ、マジック・スリー、クロイゼル・スポーツ、プシー・キャット、タンクGT、ギャング・セブン、ポッポSL、ハンサムV9、トロッコ・スペシャル、そしてゼロゼロ・マシン……。全部、うまくCGで見せて欲しい。
 当然、日本語吹き替え版でね。やはり、あのケンケンの笑い声がないと。
○その4 劇場新作版「謎の円盤UFO」
 最新技術によるスカイダイバーやインターセプターが観たい。もちろん、ムーンベースのおねーさまたちのコスチュームはあのままで。
○その5 ジョン・ウー監督の「エイリアン5」
 「エイリアン」シリーズは毎回監督を変えて、いろいろと趣向を凝らしています。次は意表をついてワイヤー・アクションのエイリアンというのはいかが?
○その6 阿部寛を使った「新・怪奇大作戦」
 未読の本が山積みの私ですが、じつは映像ソフトも買ったままのものが多い。つい最近、持っている「怪奇大作戦」のLDボックスが超貴重品らしいということを知りました。発売後、短期間のうちに回収されてしまったのが原因とのこと。理由は収録作品のうちのひとつが人権的問題に触れていると見なされたため。現代社会の矛盾を突いた、鋭い意欲作なんですけどねぇ。
 ちなみに私が「怪奇大作戦」の中でもっとも好きなのは、その「狂鬼人間」でも、一般的に評価の高いといわれる実相寺監督の「京都買います」でもなく、「かまいたち」なのです。あの犯人像は三十年以上たった現在においても今日的といっていいでしょう。終わり方がとくにいい。
 阿部寛はTVドラマ「トリック」の上田次郎役で私は惚れ込みました。ああいったトンデモないキャラを取り入れて、現代版の「怪奇大作戦」を作れないものかと思った次第。もっとも「トリック2」も早く作って欲しいですけど。
○その7 真里アンヌをアンヌ隊員に起用した「ウルトラセブン」
 「セブン」の資料本を読むと、金城哲夫はアンヌ隊員のイメージを女優の真里アンヌから持ってきていたそうです。
 ウルトラ的にいえば「ウルトラマン」の第32話「果しなき逆襲」に真理アンヌはインド支部から来たパティ隊員役で登場しています。実際、真理はインド人とのハーフ。目鼻立ちのくっきりした美女です。私としては鈴木清順の映画「殺しの烙印」のミステリアスな美女役が印象深い。
 アンヌといえば、百パーセントひし見ゆり子なのでしょうが、私はたまに真里アンヌのアンヌ隊員を想像します。エキゾチックな雰囲気を持った端正な美女としてのアンヌ隊員。たったそれだけのことで「セブン」の世界が相対化されるのが面白い。
○その8 ゲーム「デッド・オア・アライブ」に望むキャラクター
 同シリーズのタッグマッチ・モード専用の隠しキャラとして、ぜひ双子姉妹を登場させて欲しいものです。
 タッグマッチを制覇したと思ったとたん、とつぜん現れるむちむちな双子姉妹。見分け方としては、ひとり眼鏡をかけているというのはどう? 眼鏡をとったときが戦闘開始の合図。そして、何パターンも繰り出されるド派手な連携攻撃。勝利を確信したとき、彼女はまた眼鏡をかける……以下、妄想は続く。

(2001.5.11記す)
2001.6.15 ◇to page top


湊谷夢吉(みなとや・ゆめきち)について

 5月の連休中、約1ヶ月ぶりに神保町に足を向ける。目的は、追悼・馬場のぼる。絵本「11ぴきのねこ」シリーズを買おうと思ったのです。
 ところが……。三省堂6階の児童書コーナー。広い売り場にも関わらず、目当てのものはたったの1冊しか置いていなかった。しかもそれはすでに持っているやつだったのでガッカリ。結局、家に帰ってから、近所の書店に置いてあったやつを数冊買ったのでした……。
 さて、空振りに終わったかに思えた神保町探訪でしたが、思わぬ収穫もあり。それが書泉ブックマートの4階でゲットできた湊谷夢吉のマンガ単行本『魔都の群盲』(北冬書店)と『ブリキの蚕』(アスペクト)でした。
 当方、寡聞にして湊谷夢吉の存在を知らず、3、4年前に買ったアスペクトの本の折り込みチラシに載っていた単行本復刻の告知でようやくその名を知った次第。
 その作風ですが、『ブリキの蚕』の帯に書いてあるコピーを引用すると
「昭和、戦争、飛行戦艦、ロボット、エイリアン」
「時は幕末から未来。天才科学者、妖怪、青春群像、人間型ロボット。……幻想と現実が行き交う愉快な夢吉世界、ついに最終巻!」
 どーですか、お客さん? 私ゃ、グッときてしまいましたよ。
 豆腐の頭脳を持った(そういえば、脳は豆腐のようなものと聞きますな)ロボットと娼婦が主人公の表題作「ブリキの蚕」なんか、Hでコミカルで詩情があって、妙高型重巡が出る軍港まつりのシーンなんかはじつにファンタジックです。
「汽罐ガ大声デ笑ッテイタ…。空中線ガ狂ッタヨウニ何事カ叫ンデイタ。鉄板ガ…通風筒ガ…起重機ガ胴ブルイシテイタ…。アイツハ戦イニユクノダ!」
 コノ場面ノ魅力ガ理解デキル人ト私ハ友達ニナリタイ。
 絵柄は古めですが(もっともアニメ絵でこれをやればぶち壊し)、話にマッチした好感の持てる絵です。
(作品世界的には、最近あちこちに薦めている西川魯介作品と重なる部分あり。対象年齢はちょっと上かな。西川作品については、リンクしている「黒書刊行会」のサイトでくわしく紹介しているので参照して下さい)
 これから湊谷夢吉には目が離せませんな!
 ……と締めくくられれば、私も幸福だったのですが、世界は残酷です。
 湊谷夢吉さんは1988年、38歳の若さで他界していたのですから。
 アスペクト版では、未亡人があとがきを書かれています。そのタイトル「おまえの無駄に遣っている時間をワシにくれ」は胸を打ちます。
 果たして自分に残された時間はあとどれくらいあるのだろうかと。

 最後に単行本のデータを記しておきます。
『魔都の群盲』1984年9月
『マルクウ兵器始末』1986年9月
『紅龍異聞』1988年12月(死後発行)
 いずれも北冬書房。私が買った『魔都の群盲』は、97年に出た限定復刻版。
 ちなみに版元は、「夜行」(1972−1991)というハードカバーのマンガ雑誌を出していたところ。「『ガロ』さえかすんで見えるアートの香り漂う、知る人ぞ知る幻のマンガ雑誌」(「消えたマンガ雑誌」メディア・ファクトリーより)とのこと。これじゃ気づかなかったわけだ。
 1997年にアスペクトから再編集した(各巻の内容を入れ替えた)ものが復刻版として出ています。こちらなら、努力次第でまだ入手が可能でしょう。書店注文とかで。
 湊谷夢吉作品集
 1『紅龍異聞』
 2『魔都の群盲』
 3『ブリキの蚕』
 1300円+税。3のみ1400円+税。
(晩年の86−7年「コミックモーニング増刊」に「銀河探偵局事件帖」を3話まで発表していますが、こちらは単行本未収録の模様。残念……)

(2001.5.6記す)
2001.6.7 ◇to page top


湊谷夢吉について・追伸

 その後、努力の甲斐もあってアスペクト版『紅龍異聞』と『魔都の群盲』をゲットできました。池袋の芳林堂コミックプラザ、偉い! 斜め向かいにある本店では「猫耳戦車隊」を2冊ともまた平積みにしているし(笑)。
(プラザでは情報ペーパーにも力を入れている。そういえば、小池田マヤのサイン会もやっていましたな。この作家についても、いずれまた取り上げる予定です)
 湊谷夢吉は、西川魯介作品と重なる部分ありと前回書きましたが、それはあくまでモチーフや素材についての話で、絵柄や作風はだいぶ違いますので、勘違いなさらぬよう。
 しかし、「無用の天地」(『魔都の群盲』所収)でメガネをかけたまましていたり、「蛇神の血脈」(『紅龍異聞』所収)では下半身むき出しのまま、怪物から逃げまくるお嬢さんが登場したりと、このサービスぶりは共通点といえるかも……。
 さらに追伸。
 池袋には大書店やマニアックな本屋が多く、よく利用しています。東武プラザ館7F旭屋書店の児童書コーナーでは、これまた探していた馬場のぼるの「11ぴきのねこ」とその関連グッズを発見! 神保町よりも役に立ちますなぁ。

(2001.6.1記す)

 またさらに追伸。
 資料探しのために、昨日もまた池袋まで足を運びました。買ったのは、地中海・英国家具・魚料理に関する本。さて、何ができるのやら?
 東武の旭屋書店に行くと「11ぴきのねこ」フェア(?)は終わっていました。残念。(絵本そのものは売っていましたが、関連グッズの姿が消えていました)
 そうそう、「ブンダバー」というタイトルの絵本(新刊)があって、おもわず手にとってしまいました。しかも、それは猫の名なのです(笑)。

(2001.6.8記す)
2001.6.9 ◇to page top
*Einhorn註:この回(6月の手紙3)は、前回の追伸のため、表示順を調整しています


「YAに解説を運動」続報

 中沢氏から、拙作に山本貴嗣さんの解説を、という提案をいただきました。これはぜひ機会をうかがってみたいと思います。
 それで思い出したのですが、1月に公表した「ヤングアダルトに解説を」運動の続報です。
 自分がSF、ファンタジー、ミステリーの知識を得たのは本の解説から。
 しかし、ヤングアダルト作品には解説がない。
 そこで、自分の知る編集者に解説をつけるように提案した。
 と、ここまでが前回のポイント。
 具体的に提案できたのは、富士見書房とファミ通文庫の担当さんです。ちょうど創刊準備中の富士見ミステリー文庫の編集長ともお会いできたので話したところ(去年のことです)、実現化の第一弾は、同文庫の「さくらの季節」(雑破業著)となりました。アンソロジストとして活躍中の日下三蔵氏が解説を寄せております。今後もきっとこの試みは増えていくことでしょう。
 ……とはいえ、編集長もおっしゃってましたが、この分野の解説を書ける人材は大変少ない。マンガ、アニメ、ゲームについて書ける人よりも少ないかもしれません。
 去年出た別冊宝島「現代ブンガク」(?)でも、まったく対応できてなかったし、「SFマガジン」でも担当者がひとりっきり。
 ぜひとも従来型のSFやらジュヴナイル観に縛られない、新しい人材が出てきて欲しいものです。

(2001.5.31記す)
2001.6.1 ◇to page top


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