I氏の手紙

Ibuki Hideaki Free Talk

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『スカイキャプテン』

『スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー』のDVDを観ました。
 ケリー・コンラン監督のコメントによれば、主人公のモデルはフライング・タイガースのクレア・シェノーなのだという。
 あれだけの敵と戦ってやられないのだから、操縦技術は超一流なのだろう。しかし、それ以外に特筆すべき点は無い。ただひたすら「運の良さ」だけでピンチを切り抜けていく……。

 勧善懲悪物は、もう時代劇でしかやれない、というのはよく聞くことだけど、強大な悪の組織と戦うヒーロー物というのも、対象年齢を上げようとしたら、もはやレトロ・フューチャーでやるしかないのかも。

 冒頭、世界が悪の組織に襲われたことが、各国の新聞によって表現されている。
 日本のそれを伝えるのは「毎朝新聞」。写真に巨大ロボットと対峙する影が見えるが、どう見てもゴジラだ(笑)。
 ちょっと細かいことをいえば、戦前の新聞なのだから横列の文字は右側から始まるはず。 あと、見出しで「今だ」となっているけど、「未だ」の間違いですな。
「毎朝新聞」さんの校正係は何をやっとるか(笑)。

2005.5.29 ◇to page top


『瑞鶴』についての補足いろいろ

「歴史群像」6月号で空母「瑞鶴」について書かせていただいたのですが、枚数制限のために紹介できなかったことを何点か書いてみます。

★第2遊撃部隊について
 捷一号作戦において、志摩清英中将が率いる第2遊撃部隊(第5艦隊)の立場というのは、とても中途半端です。重巡2、軽巡1、駆逐艦7という戦力も中途半端なら、スリガオ海峡に突っ込めという命令も曖昧。しかも、指揮系統が違うため、一緒にスリガオ海峡に向かった西村艦隊との連携も取れていなかったという粗雑さ。
 聯合艦隊司令部としては、とにかくありったけの稼動兵力をつぎこめ、といったところだったのでしょうか。
 本来、北洋が守備範囲だった志摩中将の第5艦隊は、捷一号作戦においては、小沢機動部隊の護衛に使われる予定でした。
 しかし、台湾沖航空戦の「幻の大戦果」を信じた日本軍は、米軍の残存艦隊の掃討のために第5艦隊を南下させます。ほとんど無傷だった米機動部隊の手を逃れることができたのは、幸運以外の何物でもありません。
 その後に捷一号作戦が発令されたため、第5艦隊は小沢機動部隊と合流することができず、中途半端な命令を受けることになります。
 一方、第5艦隊の代わりに機動部隊の護衛任務を命じられたのは対潜部隊として組織された「松」型駆逐艦4隻でした。いずれも航続距離が短いため(洋上補給の失敗もあり)、帰路は苦労しています。

★「瑞鶴」攻撃隊の戦果
 小沢機動部隊から出撃した攻撃隊は、数も少なく、搭乗員の練度も低かったため、ほとんど戦果といえるものはありません。
 しかし、間接的ながら軽空母「プリンストン」の沈没には一役買っていると思われます。
 順に追っていくと――
 基地所属の彗星艦爆が「プリンストン」に爆弾1発を命中させる。誘爆により大火災。
 小沢機動部隊から攻撃隊、発進。
「瑞鳳」「千代田」「千歳」の攻撃隊が米戦闘機を引きつけているうちに、「瑞鶴」隊が艦隊に攻撃開始。
 そのため、「プリンストン」の消火に当たっていた軽巡「バーミンガム」他が、作業を中止。火勢は増し、さらに誘爆が激しくなる。
「瑞鶴」隊が去ったあと、消火活動は再開されるが、「プリンストン」は大爆発を起こし、「バーミンガム」と駆逐艦「アーウィン」「モリソン」「ガトリング」は損害を受けた。とくに上部構造に被害を受けた「バーミンガム」は、死者229名、負傷者420名という惨状を呈しました。近くにいただけでこれですから、「プリンストン」の爆発の規模がうかがえます。
「プリンストン」は処分。「バーミンガム」他3隻は、戦線を離脱してウルシーに向かっていますので、それも含めて「瑞鶴」攻撃隊の間接的戦果といえるかもしれません。

★珊瑚海海戦の仇討ち?
 フィリピン沖海戦の米軍機動部隊は、ミッチャー中将率いる第38任務部隊。これは4つの機動群からなっています(このうちマッケーンの第1機動群は給油のために、エンガノ岬沖海戦には不参加)。
「瑞鶴」はこれらの機動群から発進した艦載機によって波状攻撃され、第3次のそれで沈没しています。このとき、主に「瑞鶴」を攻撃したのは「レキシントン」(エセックス級)の艦載機でした。
 先代の「レキシントン」は1942年5月の珊瑚海海戦で、「瑞鶴」「翔鶴」の攻撃隊によって撃沈(雷撃処分)されていますので、これも因縁でしょうか。
(実際、「レキシントン」攻撃隊のパイロットたちはそれを強く意識していたようです)

★エンガノの意味。
 ルソン島の北にあるエンガノ岬。現在の地図では「エンガニョ」と表記されているものが多いですね。正確には「エンガニョ岬沖海戦」といわねばならないのでしょうか。
 ちなみにスペイン語でEnganoというのは「騙す」「ひっかける」という意味があるんですね。
 小沢機動部隊の任務が米機動部隊をおびき出すことにあったと思えば、ぴったりの地名だったといえます。

2005.5.9 ◇to page top


最近入手した本やDVDソフト 2005年4月編

 値段は税抜きだったり、税込みだったり、ネット通販のセールス期間中だったり、それぞれです。DVDの新譜はみんなネットで買っているので、実際はもっと割引されています。表示金額はあくまで目安ということで。

『SF雑誌の歴史 パルプマガジンの饗宴』マイク・アシュリー 牧眞司訳 東京創元社 4725円
『信長軍の司令官』谷口克広 中公新書 780円
『戦場の現在』加藤健二郎 集英社新書 680円

『黒い宇宙船』マレイ・ラインスター 野田昌宏訳 岩崎書店 1575円
『願い星、叶い星』アルフレッド・ベスター 中村融訳 河出書房 1995円
『アジアの岸辺』トマス・M・ディッシュ 若島正編 国書刊行会 2625円
『五人姉妹』菅浩江 ハヤカワ文庫 700円
『象られた力』飛浩隆 ハヤカワ文庫 740円
『反対進化』エドモント・ハミルトン 中村融編 創元SF文庫 920円

『プルートゥ』2巻 浦沢直樹・手塚治虫 小学館 524円
『ベルセルク』28巻 三浦建太郎 白泉社 530円
『エアマスター』24巻 柴田ヨクサル 白泉社 530円
『舞-HiMEコミックアンソロジー』 一迅社 890円
『隻眼獣ミツヨシ』1巻 上山徹郎 メディアワークス 850円
『ピピンとピント』2巻 大石まさる 少年画報社 533円
『キューティーハニー a GOGO!』伊藤伸平・永井豪 角川書店 580円
『ブライトの憂鬱』1巻 竹宮恵子 白泉社 752円
『ブライトの憂鬱』2巻 竹宮恵子 白泉社 752円
 あの『私を月に連れてって』の続編ですよ!

DVD
『十二人の怒れる男』シドニー・ルメット監督 20世紀FOXジャパン 3980円
『情婦』ビリー・ワイルダー監督 20世紀FOXジャパン 3980円
『或る殺人』オットー・プレミンジャー監督 ソニー・ピクチャーズ 3800円
 法廷劇として玄人筋に評価の高い3本です。『十二人の怒れる男』が再版されたのを契機に一気に買ってみました。

『エイリアンVSプレデター』 ポール・W・S・アンダーソン監督 20世紀FOX 2800円
『KURAU ファントムメモリー』7巻 入江泰浩監督 メディアファクトリー 5000円
『忘却の旋律』10巻 錦織博監督 角川書店 5800円
『舞-HiME』4巻 小原正和監督 バンダイビジュアル 6800円
『攻殻機動隊SAC.2nd GIG』11巻 神山健治監督 バンダイビジュアル 6000円
『攻殻機動隊SAC.2nd GIG』12巻 神山健治監督 バンダイビジュアル 6000円
『攻殻機動隊SAC.2nd GIG』13巻 神山健治監督 バンダイビジュアル 6000円

 ふう。4月は散財しすぎました……。

2005.5.1 ◇to page top


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