I氏の手紙

Ibuki Hideaki Free Talk

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発掘された本

 1年後くらいをメドに引っ越しを考えています。蔵書の量が半端ではないので、いまのうちから少しずつ整理をしていくことにしました。
 で、今回発掘されたのはこんな感じです(ついリストを作ってしまう私。子供のころからリスト作りが好きで、反射的に作ってしまうんですね)。ほとんどがSFとファンタジー。

「メデューサの子ら」ボブ・ショウ (おおっ!)菊地秀行訳 サンリオSF文庫
「見知らぬ者たちの船」ボブ・ショウ 嶺常生訳 サンリオSF文庫
「去りにし日々、今ひとたびの幻」ボブ・ショウ 蒼馬一彰訳 サンリオSF文庫
「海竜めざめる」ジョン・ウィンダム 星新一訳 ハヤカワSF
「テラの秘密調査官」ジョン・ブラナー 関口幸男訳 ハヤカワSF
「流れ星をつかまえろ」ジョン・ブラナー 関口幸男訳 ハヤカワSF
「宇宙の果てを超えて」レイ・カミングス 斎藤伯好訳 ハヤカワSF
「怪奇クラブ」アーサー・マッケン 平井呈一訳 創元推理文庫
「ブラックウッド傑作選」 A・ブラックウッド 紀田順一郎訳 創元推理文庫
「海底二万里」ジュール・ヴェルヌ 荒川浩充訳 創元推理文庫
「奇妙な関係」フィリップ・ホセ・ファーマー 大瀧啓裕訳 創元推理文庫
「ウィリアム・テン短編集2」ウィリアム・テン 中村保男訳 創元推理文庫
「マッド・サイエンティスト」S・D・シフ編 荒俣宏他訳 創元推理文庫
「優しい侵略者」キース・ローマー 風見潤訳 ハヤカワSF
「北風のうしろの国」ジョージ・マクドナルド 中村妙子訳 ハヤカワFT
「時空監視官出動!」マイクル・マッコーラム 野田昌宏訳 ハヤカワSF
「メドシップ 祖父たちの戦争」マレイ・ラインスター 山田忠訳 ハヤカワSF
「地球最後の男」リチャード・マシスン 田中小実昌訳 ハヤカワNV
「ゾンガーと魔道師の王」リン・カーター 多田雄二訳 ハヤカワSF
 (ヒロインの片方の乳が出ている表紙に惹かれて買いました(笑)。やはり武部本一郎の表紙は素晴らしい。こんなに上品かつエロチックな絵が描ける人は他に思い浮かばない)
「夢の10セント銀貨」ジャック・フィニィ 山田順子訳 ハヤカワFT
「薔薇の荘園」トマス・バーネット・スワン 風見潤訳 ハヤカワSF
「竜の戦士」アン・マキャフリイ 船戸牧子訳 ハヤカワSF
「竜の探索」アン・マキャフリイ 小尾芙佐訳 ハヤカワSF
「白い竜」アン・マキャフリイ 小尾芙佐訳 ハヤカワSF
 (御存知、「パーンの竜騎士」シリーズの初期三作。いまではゲームなんかで、竜に乗って戦うシーンはよくあるけど、やはりこれが走りなのかな。ちなみに第二作目の原題はずばり「DRAGON QUEST」。もちろん某RPGなんぞよりもはるかに早い)
「蠅」ジョルジュ・ランジュラン 稲葉明雄訳 ハヤカワNV
「爆走!クライプス・サーキット」R・ゼラズニィ&J・A・カーバー 野田昌宏訳 角川文庫
「ロボット・シティを捜せ!」I・アジモフ&M・P・キュービ=マクダウェル 黒丸尚訳 角川文庫
「両面宿儺」豊田有恒 角川文庫
「怒りの大洋」田中光二 徳間文庫
「キャベツ畑でつかまえて」野田昌宏 ハヤカワJA
「ホンダがレースに復帰する時」高齋正 徳間文庫
「ニワトリはいつもハダシ」火浦功 角川文庫
「妖魔よ翔べ」清水義範 ソノラマ文庫
「妖魔を撃て」清水義範 ソノラマ文庫
 (ハンター&ウィッチシリーズ全2巻。清水義範氏もまた初期はジュヴナイル物を多数書いていました。超能力を持った少女と孤独な殺し屋の心の交流というストライクど真ん中の作品)
「虚空の総統兵団」川又千秋 中公文庫
 (文庫の前のノベルズ版が出たのは1985年。SF→架空戦記の先駆的な作品といえましょう。この作品の成立過程のエピソードは、当時の担当の方からうかがったことがあります。今年のIFCONの企画ででもお話ししましょうか)

 この他にも、同人誌もゾロゾロ出てきました。
 1986年に発行された某SF同人誌の中で、○○○○氏の文章を発見。当時の日本SF界、SFシーンに対する違和感がシリアスに語られています。
 それから5年後に「○○の○○」を出して、それが大ヒットするとは、たぶん御本人も想像だにしていなかったでしょうね。
 人生、先のことは分かりません。

2003.10.20 ◇to page top


最近買った本とDVDソフト 2003年9月編

(価格は税抜き)

1「ドイツのロケット彗星」ヴォルフガング・シュペーテ 高瀬明彦訳 大日本絵画 2233円
 副題は「Me163実験飛行隊、コクピットの真実」。先月買った「フォッケウルフFw190」同様、近所の本屋のミリタリーコーナーに何年も寂しく置かれていた本で、「この近辺では、私しか買う人間はおるまい」と観念(?)して購入。このロケット機の開発と実験、実戦に関わる話はじつに壮絶で、ぜひ「プロジェクトX」風なドキュメンタリーを作って欲しいものです。ナレーションはもちろん田口トモロヲで。
2「ハプスブルクとハンガリー」H・バラージュ・エーヴァ 渡邊昭子、岩崎周一訳 成文社 4000円
3「昭和史の怪物たち」畠山武 文春新書 680円
4「宇宙の素顔」マーティン・リース 青木薫訳 講談社ブルーバックス 940円
5「戦国15大合戦の真相」鈴木眞哉 平凡社新書 760円
「偽書『武功夜話』の研究」や「鉄砲隊と騎馬軍団」など、戦国時代の定説にメスを入れ続ける著者の新作。学界というか、これまで定説を繰り返していた戦国研究家たちは反論しているのだろうか?
6「モナ・リザは高脂血症だった」篠田達明 新潮新書 680円
 宮本武蔵はジャイアント馬場なみにでかかった、秀吉の右手には指が六本あった、といったように、肖像画を医学的に分析した本。まあ、肖像画は写真ほどには信憑性はないと思いますが、いろいろとイメージを膨らませる楽しみはあります。
7「図解 日本地下経済白書」門倉貴史 祥伝社 952円
8「中国ODA 6兆円の闇」青木直人 祥伝社黄金文庫 562円

9「女船長、ロブスターの島に帰る」リンダ・グリーンロウ 小竹由美子訳 白水社 1900円
10「柔かい月」イタロ・カルヴィーノ 脇功訳 河出文庫 850円
11「猫語の教科書」ポール・ギャリコ 灰島かり訳 ちくま文庫 580円
 猫の手による、全国の猫のためのマニュアル。「快適な生活を確保するために、人間をどうしつけるか」スザンヌ・サースによる写真もたっぷり。
12「鬼流殺生祭」貫井徳郎 講談社文庫 695円
13「ジハード」1巻 定金伸治 集英社文庫 590円
 イスラム世界から見た十字軍との戦いをファンタジーとして描いたもの。
 おお、懐かしい! というのも、これが発表される前に生原稿で読んでいたんです。いまから12年ほど前、当時務めていた会社で○ャンプノベルス大賞の下読みをやっていたんですね。下読みといっても応募作がとても多かったので1次から3次まで分けて行われ、私は自分でも読みながらその進行管理役もやっていました。で、そのとき私が最終選考に上げたのが、この定金伸治氏と今年直木賞をとった村山由佳氏のふたりの作品だったというわけ。
 ちなみに村山氏の公表プロフィールでは、デビューが「ジャ○プノベルス」ではなく、「小説す○る新人賞」となっていることが多いですね(文壇を生きるための政治的配慮か)。ちょっと残念。

14「黒船」黒田硫黄 イースト・プレス 999円
15「はじめの一歩」66巻 森川ジョージ 講談社 390円
16「Forget - me - not」鶴田謙二 講談社 857円

DVDソフト
17「フロム・ヘル」 20世紀FOX
18「レジェンド 光と闇の伝説」 20世紀FOX
 17と18は2枚買ったら1枚タダというキャンペーン中のもの。1枚3980円だが、石丸ではもうちょい安かった。
19「マルタ島攻防戦」 IVC
 これも定価は3800円だけど安売りしてました。若い頃のアレック・ギネス(「スターウォーズ」のオビワン・ケノービの人ですな)主演の戦争映画。本物の戦闘機や軍艦が登場する記録映画がミックスされ、迫力ある作品になっています。
20「まほろまてぃっく〜もっと美しいもの」3巻(5〜6話) パイオニア 5000円
21「まほろまてぃっく〜もっと美しいもの」4巻(7〜8話) パイオニア 5000円
22「攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX」1巻(1〜2話)バンダイビジュアル 6000円
23「The ビッグオー」セカンドシーズン2巻(15〜16話)バンダイビジュアル  5000円
24「ストラトス・フォー」4巻(8〜10話)  バンダイビジュアル 6000円
25「ストラトス・フォー」5巻(11〜13話完)  バンダイビジュアル 6000円
26「キカイダー01 THE ANIMATION コレクターズBOX」 アニプレックス 19000円
「三つ子の魂、百まで」というか、やはり買ってしまった……。
「キカイダー01」は新作カットを加えた再編集版(実態は、見ているのが辛い箇所のリテイクでしょうね)。
 お目当ては「ギターを持った少年――キカイダーVSイナズマン」。声優・関智一の強烈なリクエストによって実現したというのが凄い。原作コミックを膨らませ、さらにTV(実写)のみに出てくるイツツバンバラを登場させるというサービス(?)ぶり。
27「エアマスター」2巻(4〜6話) バップ 4800円
 前に「相川摩季に蹴られたい」という友人がいると紹介しましたが、その人はさらに「エア」のキャラクター、川本みちるに説教される夢を見たそうです。あまりに面白いのでここに御紹介。本人の許可はとっています(^^)。
「あんた、摩季ちゃんに蹴って欲しいとか言ってるらしいけど、ちゃんと考えてるの? 摩季ちゃんは優しいから、あんたの希望を叶えてくれるかも知れないけど、坂本はどう考えると思う? 他の人間が摩季ちゃんに蹴られて恍惚を味わうなんてこと、許すと思う? 絶対嫉妬するよ。で、あんた坂本に蹴られる。摩季ちゃんみたいに優しくないよ。気に食わないコギャルやおっさんを30メートル吹っ飛ばすような奴よ。殺されるか、再起不能だね。何でそういう風に考え無しなの? 想像力無いの? 坂本ジュリエッタのこと考えていなかったの? 馬鹿じゃん。大体あんたは普段からそうなのよ……」
 素直に蹴られる夢じゃなくて、説教される夢というのが良いですね。今度こそは摩季に蹴られる夢を、と意気込んでいるようですが、さてどうなるか?

2003.10.20 ◇to page top


柴野拓美氏喜寿のお祝い

 日本SF界の先駆者(1957年創刊の「宇宙塵」代表)であり、小隅黎(こずみ・れい)のペンネームで翻訳家として御活躍の柴野拓美さんが喜寿(77歳の誕生日)を迎えられました。氏が主催している翻訳勉強会「RAY会」の活動20周年記念を兼ねての祝う会が、10月4日(土)横浜中華街の揚州飯店で開催されました。
 私も御招待していただいたのですが、体調不良のために残念ながら欠席。返信ハガキには「柴野先生のおかげで、国内外の多くのSF作品に触れることができました。有り難うございました」とメッセージを記しました。
 国内SFについては、「宇宙塵」第2号に載った星新一の「セキストラ」が「宝石」に転載されたのを皮切りに、黎明期の(第一世代といわれる)SF作家の大半が「宇宙塵」と関わりを持っていたということでお分かりでしょう。第二世代では山田正紀が有名。1980年代、90年代になっても「宇宙塵」→「ソノラマ」デビューという形(このパターンが一番多い)で、何人もの作家を登場させています。
 また、柴野(小隅黎)氏は翻訳家として、文字どおりのサイエンス・フィクションを中心に多くの海外SFの紹介にも努めてこられました。
 現在、小隅黎訳として入手できる文庫本には、
【ハヤカワ文庫2003年7月版の目録より】
 アーサー・C・クラーク「前哨」「神の鉄槌」(共訳)
 ラリイ・ニーヴン「リングワールド」「リングワールドふたたび」「中性子星」「無常の月」
【創元文庫2003年5月版の目録より】
 ハル・クレメント「一千億の針」
 E・E・スミス「銀河パトロール隊」「グレー・レンズマン」「第二段階レンズマン」「レンズの子供たち」(レンズマン・シリーズ)
 ジェイムズ・P・ホーガン「未来からのホットライン」「造物主の掟」「マルチプレックス・マン」「時間泥棒」「ミラー・メイズ」「造物主の選択」
 といった作品があります。

 翻訳といえば……個人的な思い出がひとつ。あれは1988年か9年くらいのこと。
 マイクル・マッコーラムの「アンタレスの夜明け」「アンタレス突破」を読み終えた私は、「宇宙塵」の例会で翻訳した柴野氏に向かい、
「この戦闘巡洋艦って、BATTLE CRUISER の直訳ですよね。どうして巡洋戦艦にしなかったんですか?」と質問。
 すると柴野さんは少し困った顔で、こうお答え下さったものです。
「これは舞台が海洋じゃなくて宇宙だし、それに作者の意図しているものも違うと思ったのでね」
 難しいものですね。確かに巡洋戦艦といって、その意味が(比喩的な意味を含めて)分かるのは艦船ファン、ミリタリーファンくらいのもの。それ以外の人には、戦闘巡洋艦の方がイメージが浮かびやすいのかも。
(でも、純粋なミリタリー物でBATTLE CRUISERを戦闘巡洋艦と訳してあるものは認める気にはならないけどね。よくあるんだ、これが。このあいだ観た某ドキュメンタリービデオでも、堂々と「戦闘巡洋艦フッド」とナレーションしてました(~_~メ)。)
 おっと、この調子でいけば話が大脱線してしまう。
「宇宙塵」といえば、そのパロディ誌をつくったり、創刊号を復刻させていただいた思い出もありますが、その話はまた機会を改めて……。
 まずは柴野氏に敬意を表して筆を置きます。今後の御活躍も楽しみにしております。

2003.10.6 ◇to page top


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