ドイツ幻想文学 古典編

 引っ越しのために魔窟状態の部屋を整理していると、いろいろなものが出てくる、出てくる。10年以上前、ドイツに留学していた知人とやり取りしていた手紙も出てきた。
 海外の翻訳物といえば、そのほとんどが英語圏のもの。非英語圏からのものは少なく、いまも昔もドイツのSFといえばペリー・ローダン、ファンタジーといえばミヒャエル・エンデくらい(大雑把にいえばですよ)。
 しかし、ドイツ(もしくはドイツ語圏)といえば、かつては幻想文学の宝庫ではなかったか。というわけで、1991年当時、ベルリンにいた知人に宛てて、手紙を出して訊いてみた。この作家たちは現在でも読まれているのか、と。

(残念ながらドイツ語のウムラウトはフォントにないため表示できません)

E.T.A.Hoffmann E・T・A・ホフマン  Gustav Meyrink グスタフ・マイリンク
Hanns Heinz Ewers ハンス・ハインツ・エーヴェルス
Karl Hans Strobl カール・ハンス・シュトローブル
Wilhelm von Scholz ヴィルヘルム・フォン・ショルツ
Jakob Wassermann ヤーコプ・ヴァッサーマン
Albrecht Schaeffer アルブレヒト・シェッファー
Alexander M.Frey アレクサンダー・M・フライ  Klaus Mann クラウス・マン
Christa Reinig クリスタ・ライニヒ  Alfred Andersch アルフレート・アンデルシュ
Werner Bergengruen ヴェルナー・ベルゲングリューン
Friedrich Durrenmatt フリードリヒ・デュレンマット
Oskar Panizza オスカル・パニッツァ  Franz Hohler フランツ・ホーラー
Heinrich von Kleist ハインリッヒ・フォン・クライスト
Raoul Hausmann ラウール・ハウスマン  Uwe Bremer ウーヴェ・ブレーマー
Jean Paul ジャン・パウル  Walter Serner ヴァルター・ゼルター
Gerhard Amanshauser ゲアハルト・アマンスハウザー
Johann Peter Hebel ヨハン・ペーター・ヘーベル
Hans Henny Jahnn ハンス・ヘニー・ヤーン
Hans Carl Artmann ハンス・カール・アルトマン
Peter Pongratz ペーター・ポングラッツ  Peter Handke ペーター・ハントケ
Thomas Bernhard トーマス・ベルンハルト
Ludwig Tieck ルートヴィヒ・ティーク
Justinus Kerner ユスティーヌス・ケルナー  Wilhelm Hauff ヴィルヘルム・ハウフ
Hugo von Hofmansthal フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
Marie Luise Kaschnitz マリー・ルイーゼ・カシュニッツ
Herbert Meier ヘルベルト・マイヤー
Kurt Kusenberg クルト・クーゼンベルク

 Johann Wolfgang von Goethe ゲーテや Franz Kafkaカフカ(主な活動の場がウィーンなのでドイツ語圏ということで)も幻想小説を書いているが、あえてこれらは入れなかった。代わりにこのリストの最後にはPatrick Suskind パトリック・ジュースキントを入れておきました。代表作の「香水」は1985年の作なので一番新しい作家ということになります。
 さて、このリストを知り合いのドイツのSFやファンタジーを読む人たちに見てもらったところ……。
 結果はほぼ全滅。
 比較的年齢の高い人(といっても91年の時点で30歳前後)がかろうじて何人かを知っていた程度。
 おいおいおい、と思ったけど、これは日本の若いSFファンに上田秋成や泉鏡花を読んでいるか、と質問しているようなものと気づいた次第。仕方ありますまい。
 せっかく発掘できたリストなので、いずれはプロフィールや主要作品を加えてより充実させたいですね。
 まずは、かつてこのような試みがあったという記録ということで。


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